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2011.04.12 Tuesday
第33回 政府は再度「資本市場の存在意義」を理解すべし?
 

 東日    東日本大震災に関しては、その直後に発生した福島の原子力発電所の事故と放射能被害の実態等、涙なくしては語れないほどの被害が生じており、衷心からお見舞いを申し上げたい。一方、小生も女房と二人で終の棲家と定めた場所は茨城県の外れにあり、その理由もあってか各方面でご心配を戴き、また、『新鮮な野菜が入手し難いだろうから』と、ダンボール一杯の野菜類等を送って頂く方もあり、感謝に耐えないところでもある。

 

お陰様で、棲家は大した被害は無く、精々棚からガラス類が落ちて破損、また、低めの棚が倒れた(引き出しが滑り出た性で棚ごと倒壊)程度で、高めの書棚や食器棚更に液晶TV等は普段から地震対策用の備えをしていたお陰でビクともしなかったのには、正に不幸中の幸いと言うところかも知れない。日頃から「無駄となる事を祈りながら、リスク管理を実行せよ!」と吼えまくる小生だけに、地震等の災害対策は完全で、日頃からの備蓄が効き、水や乾電池、食料などの生活必需品の全ては、慌てて対応する必要は全く無く、買い溜めに奔放する輩達には正直暗澹たる思いでいた。

 

読者諸兄姉も、日頃からの備えが必要だと言う事を、再度認識し、状況が落ち着いた段階で次の災害発生に備えて万端準備をしておくように提言したい。但し、必要備品を買い溜めるのではなく、使用しながら結果として「備蓄」となる対応をして欲しい。例えば、水であれば、2リッターペットボトル半ダースを二セット用意し、普段はコーヒーや飲料水として使用しながら、一セット6本を消費したら一箱追加する、つまり、最大12本、最低6本の水の備蓄は常に存在することなり、日常生活の負担にもならない対応である。この点ご理解戴けるだろうか。備蓄と言うと何処に仕舞おうか悩む事になり、また、一度買い込みをすると安心し、いざ必要になった段階では古くなって使用不能になっている例を見聞きする事が多い。缶詰類やインスタント・ラーメン、スパゲティ等の食料も使用しながら結果的に備蓄となる方法で備えて欲しい。最も効率的な方法は、例えば、キャンプなどの野外運動を子供達と一緒に行い、その時に備蓄食料を使用して、また新しい備蓄に切り替える方法である。こうすれば負担にならないし、子供達にとっても野外での生活はいざと言うときのサバイバル生活の実践以外のなにものでも無く、一挙両得になる。屋内でのテレビ・ゲーム等に明け暮れるよりもはるかに健康的でもある。今からでも遅くは無い、特にキャンピング道具(テントや照明器具、バーナー等の調理器具、寝袋や毛布等)は最適な災害対応の為の道具となり得る物であり、この際に見直しては如何だろうか。尤も、そうした活動が実際に役立つ事の無いように心から祈りながらやるのは当然の事だ。当然の事だが、そうした普段からの備えは、自らが災害に巻き込まれない限り、今回のような被災地への緊急支援物資として即座に提供する事が出来る事となり、全く無駄になる事は無い。

 

ところで、表題の件、この状況で一体何の事かと思われるかもしれないが、実は、昨今の東京電力(株)の存続等に関する様々な憶測報道等に関してである。丁度一年強前になるが、同様の事が日本航空(株)に関して生じた。その時も、敢えて弊ブログ欄(第18回)で苦言を呈した事を読者諸兄姉は覚えておいでだろうか。いま又、同様の事が政権政党を中心に実に勝手な発言等が勝手に飛び出しており、資本市場は混乱の真っ只中に置かれていると言っても過言ではなかろう。「風説の流布」と言っては申し訳ないが、発行会社である東京電力社から正式の発表も何も無いままに、国有化であるとか、銀行の緊急支援策とか、様々なニュースが飛び交っている。

 

当然に、同社が提供する電力は関東近隣の最大・最重要の社会的インフラであり、その存亡に関しては、三千万人以上の住民の生活と数多の企業の活動の基本的生存が掛かっていると言っても間違い無いものである。一方で、同社の株式は市場に上場されており、毎日売買の対象とされている。正確な情報の無いままに放置され、憶測と、「流言蜚語」に近い情報で多くの投資家が大混乱状況となっている事を政権政府は承知しているのだろうか。尤も、その話を出しているのが当事者だから始末に終えないが。先の日本航空社の場合と同様に、日本全国には実に多くの同社株主が存在している。配当目的での長期投資として株主になっている老齢の方々も多いと聞く。勿論、海外の投資家も数多い。小生の元には、「どうなっているのか?これで『資本市場』と言えるのか?当局も市場開設者も何の対応もしようとしない。JALの時と同じで、再度あの過ちを繰り返そうと言うのか?情報開示があれほど重要と言われているのに、貴国の市場に対する信頼性は今や崩壊しそうになってきているぞ!」との海外の友人諸氏からの質問か、苦言か、数多くのメールが送られてきており、その返事を書くのも儘ならないのが実態だ。

 

原子力発電所の事故関係の情報や放射線汚染の情報に関しても満足な対応をしていないと海外政府関係筋からも大きな批判を受けている現政権だけに、資本市場の事など関与しないと考えているのかもしれないが、「公正性」と「透明性」の確保は謂わば市場の生命線でもある。資本市場に対する信頼性が崩壊すれば、資本主義を経済の根幹とする我が国の存亡的危機にも繋がる重要な問題となる。大震災や放射能汚染問題等国家の危機的状況であるからこそして、より一層の市場機能の発揮が求められている事は疑いも無い事実であり、今後の我が国経済の発展、全国的に拡大をしつつある直接・間接の被災地の迅速な復興に関しても、市場の果たす役割は益々重要となってきている。そうした中でのこの対応については理解に苦しむどころか、日本航空のケースと一緒で、政府は市場機能を全く理解していないとしか言いようが無い。

 

当事者である東京電力社が、先ずは情報公開すべきだろうが、この問題に関しては、JALの場合と同様、既に「当事者能力」を喪失しているのかもしれない。もしそうであれば、遅きに失した感は否めないが、特に、多くの個人投資家に当該事実に関する注意を改めて喚起すべく、市場サイドで何らかの手を打つべき時期に来ているのではないだろうか。これ以上の状態放置は市場機能の喪失に繋がりかねない。

 

本件に関して、先日、或る市場関係者等と意見交換をしていたら、「我が女房が既に同様の指摘をし始めています。『JALの時と同じ間違いを又繰り返している。何らかの注意喚起をすべき。』と。」との言。心配すべき状況は何れ生じるかもしれない。情報公開が現時点で不可能なら不可能で、その事を公表すべきであり、決して巷間の憶測や噂を放置すべきではない。市場機能の発揮が強く求められている。

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